住宅塗装における「厚塗り」の誤解と正しい塗布量の重要性

 

定期的に外壁塗装を行うことで建物の寿命を守ることができます。多くの人が塗装の際に「厚く塗れば良い」と考えがちですが、実際には塗料の適切な塗布量と希釈率を守ることが、塗装の効果と耐久性を最大限に引き出すためには不可欠です。この記事では、塗料の塗布量や希釈率について、厚塗りの誤解と正しい施工方法を説明します。

 

■塗料には適切な塗布量がある

外壁塗装に使用する塗料には、性能を最大限に発揮させるために「塗布量」が定められています。この塗布量とは、塗料をどれだけ使うか、つまり1㎡あたりの使用量を指します。塗料の缶には、例えば「1回塗りの場合、1㎡あたりに0.3~0.35㎏の塗料が必要」といった使用情報が記載されています。メーカーが指定基準に従うことで、最適な塗膜の厚さが得られ、耐久性を確保できます。

 

■塗布量を守らないとどうなるのか?

塗布量を守らずに塗装を行うと、さまざまな問題が発生します。例えば、メーカーが提示しているよりも少ない量で塗装を行うと、塗膜が薄くなり、外壁の耐久性が低下します。標準的な塗料であれば、一般的に10年程度の耐久性が期待されますが、塗布量が不足すると2年~3年で劣化が始まることもあります。

 

一方で、塗料の仕様に関わらず、多く塗ることが良いわけではありません。例えば、3回塗りで機能を発揮する塗料を4~5回塗ると、塗膜が厚すぎて割れが発生することがあります。また、無駄に手間とコストがかかるだけで、効果が向上するわけではありません。

 

■希釈率も重要

塗料には希釈剤を加えて使用します。水性塗料には水、油性塗料にはシンナーが使われ、塗料に対する希釈剤の割合を「希釈率」と呼びます。塗装作業では、メーカーが定めた希釈率を守ることが必須です。希釈率を守らずに過剰に薄めた塗料で塗装を行うと、施工不良が発生し、塗膜が剥がれるなどの問題が起こります。この場合、施工から1年~3年で劣化が進み、塗装のやり直しが必要になることがあります。

 

■悪徳業者の見分け方

塗料の希釈率を守らずに材料費を削減する悪徳業者も存在します。基準以下の薄い塗料で塗布量も少なく塗り進めることで、結果的に質の低い工事になります。材料設定が少ない場合や施工費用が大幅に安い業者には注意が必要です。安さには理由があるため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

 

■まとめ

外壁塗装において「厚く塗れば良い」という考え方は誤解であり、塗料の適切な塗布量と希釈率を守ることが最も重要です。塗料の性能を最大限に引き出し、長期間にわたって美しさと耐久性を保つためには、メーカーの指示に従って塗装を行うことが不可欠です。適切な塗布量と希釈率を守る塗装店を選んで、塗替えをお願いしましょう。